官庁通り商店街物語 べにしか
べにしかを語らずして官庁通り商店街は始まらない。べにしか、面白い屋号である。名物マスターとそれを支えるおばちゃんが営む洋食屋。おばちゃんはいつもフォークを紙ナプキンでくるくる巻いている。マスターは大きな寸胴鍋のカレーをかき回す。僕は子どもの頃風邪をひくとなぜか昼は決まってべにしかのカツカレーだった。1人で寝てるとマスターが出前してカツカレーを届けてくれる。もちろん子どもの僕が頼むわけがない。働きに行った両親が頼んでおいてくれるのだ。そう考えるとお坊ちゃんみたいだなぁ。