わたしの彼は

小学2年でリトルリーグに入ったばかりの僕は丹波島のグランドまで行くのだが、たまーに長野駅近くで天ぷら屋をやっていた監督のスーパーカブの後ろに乗って連れてってもらった。土曜のお昼時は天ぷら屋も混んでいて、僕はひとりで天ぷらを揚げる監督を待っていた。ラジオから浅丘めぐみの歌が流れていた。監督は口ずさみながら「わたしのわたしの彼は〜左巻き〜」意味のわからぬ小学生をよそにカウンターのお客たちは爆笑した。